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ディドとエネアス

◇日時◇ 2008/3/1,2 開演
◇会場◇ 札幌サンプラザホール

 サンプラザオペラ2007札幌室内歌劇場公演

オペラ「ディドとエネアス」日本語上演
H.パーセル作曲、岩河智子訳詞・編曲
 
 
トロイ滅亡から一人逃れた王子エアネスは、神の命により、イタリアを目指していた。
しかし、旅の途中、カルタゴの女王ディドと出会い二人は恋に落ちる。
それを見た魔女は、女王をなきものにしょうと企む。
魔女は、神の姿に化け、エアネスに迫り、イタリア行きの使命を果たすよう促す。
エアネスは、神の命令に逆らえないとディドに別れを告げる。
ディドは天を恨み、嘆き悲しむ。「あなたは神が約束した地に行き、私を死なせるのです」
そして、エアネスが去り、ディドは一人寂しく命を絶つ。
「キューピッドよ、女王の墓に花を撒き、永遠に守れ」と人々の歌が聞こえる・・。
 

「ディドとエアネス」再演履歴

1.2008/3/1-2 札幌、札幌サンプラザホール、サンプラザオペラ2007 Vol.1 札幌室内歌劇場公演
 

初演記録

■日時:
2008年3月1日(土)18:30
2008年3月2日(日)15:00
■ところ:札幌サンプラザホール
■コンサ-ト料金:一般5,500円 学生4,500円 身障者500円
支持会員 一般4,5000円 学生3,500円
■チケット購入:オフィス・ワン 011-612-8696 、チケットぴあ、市内プレイガイド
■お問合せ:札幌室内歌劇場 011-588-4738 http//www.opera.or.jp
■主管:サンプラザオペラ実施委員会
■主催:NPO法人札幌室内歌劇場
■後援:札幌市、札幌市教育委員会
■Special Thanks:大谷大学、萩原整骨院、Coupe de KUI
             

Cast~出演者~

  • カルタゴの女王、ディド/東園巳 Mezz(1日)、萩原のり子 Sop(2日)
  • トロイの王子、エアネス/則竹正人Bar
  • ディドの妹、ベリンダ/百島吾弥子 Sop
  • 侍女/窪田晶子 Sop
  • 魔法使い/松田久美 Mezz
  • 魔女たち/土本麻生 Sop、森千絵子 Sop、三浦志緒理 Sop、渡辺ちか Sop、堂向幸恵 Sop、倉本真理 Sop、石田まり子 Mezz、遊佐悦子 Mezz
  • 精霊/安田哲平 Ten
  • 水夫/橋本卓三 Ten
  • 語り手/新津耕平 Ten 

Orchestra ~室内楽~

  • フル-ト/蠣崎路子
  • ヴァイオリン/富岡雅美
  • チェロ/川崎昌子
  • ピアノ/浅井智子
  • チェンバロ/陣内直 

Staff ~公演スタッフ~

  • 演出/中津邦仁
  • 音楽監督/岩河智子
  • 音楽監督補佐/時岡牧子
  • コレペティトゥ-ア/飯田奈津子、岩井沙織、須藤尚美
  • アドヴァイザ-/浅里慎也
  • 舞台監督/坂本由希子
  • 照明/高橋正和
  • 衣装/アキヨ(jelly-fish)
  • 製作/福地美乃、オフイス・ワン
  • 音響/加藤久男
  • 宣伝美術/若林瑞沙(Studio COPAIN)
  • ヘアメイク/藤原得代
 

■あらすじ

オペラ「ディドとエネアス」日本語上演
原作:ヴェルギリウスの叙事詩「アイネ-イス」、台本:ネイム・テ-ト
作曲:H.パーセル、 初演:1689年 ロンドン
時:紀元前1200年代  所:カルタゴ
 
初演は、舞踏教師ジョサイアス・プリ-ストがロンドン近郊のチェルシーで経営していた、良家の子女のための寄宿学校で、1689年の春に女学生たちによって上演されたとされている。
 
第1幕 カルタゴの女王ディドの居室
 イタリアを目指す途中にカルタゴに立ち寄ったトロイの王子エネアス。そのエネアスに恋心を抱きながらも気持ちを伝えられず苦しむ女王ディド。
 ディドの妹ベリンダは侍女とともに、「この恋の成就こそがカルタゴ安泰とトロイの再興をもたらす女神の思し召し」と彼女の恋を後押しする。そこに現れたエネアスはディドへの愛を告白、ふたりは互いの気持ちを確かめ合い、人々は愛と勝利を祝う。
 
第2幕 (第1幕の翌日)
 ところ変わって暗い洞窟の中。女王ディドを快く思わない魔法使いは、手下の魔女たちを呼び出し、ディドを失脚させるためには偽の神の使者になりすましてエアネスをトロイの再興のためにすぐにイタリアへ向かうように仕向け、ディドを失意のどん底に突き落とすのだと相談する。
 
第2幕2場 (森の場)
 侍女たちを連れて森に狩りに出たディドとエアネス。ギリシャ神話に出てくるダイアナと猟師アクタイオンの物語を語りながら屋外で食事を楽しんでいる。すると、突然の嵐。ディドと侍女たちは慌てて帰っていった。そこに一人残ったエアネスを魔女のひとりが化けた神の偽使者(マーキュリー)が呼びとめ、「お前はすぐにこの地を離れ、トロイ再興のためにイタリアへ就かねばならぬ。」と神の命令を告げる。ディドへの愛との板ばさみで悩むエアネスだが、神のお告げは絶対であると出立を決める。
 
第3幕 (その日の午後)
 港では水夫たちが出帆の準備を進めている。その様子をみる魔女たちは計画がうまく進んでいるとほくそえみ、次は嵐を起こしてエアネスの船を転覆させよう、これでディドは本当に破滅だと喜ぶ。
 
(ふたたびディドの居室)
 イタリアヘの出発を決めたエアネスの裏切りに深く悲しむディド。胸に悲しみを秘め、死を決したディドの激しい言葉にエアネスの決心は揺らぐ。しかし、ディドはエアネスを気丈に突き放してみせ、エアネスを旅立たせる。そして、自分の運命を甘んじて受け入れる決意をしたディドは妹ベリンダに、自分のことを忘れないように、けれど自分の受けた不当な運命のことは決して恨んだりしないように告げ、静かに息をひきとる。 
 

■解説

 トロイ対全ギリシャ軍が戦うトロイ戦争。トロイは、ギリシャの木馬の作戦により滅亡させられた。しかし、エアネス王子だけは、母ビーナスの力によって、父アンキセスとともに城を脱出し、トロイ再興のためにイタリアの地に向かう。神々は、エアネスをカルタゴに漂着させ、そこでディドとの恋に陥らせた・・・・。
 だが、トロイ再興の使命をおびたエアネスと、カルタゴの女王の恋は、所詮かなわぬ恋として悲しい結末を迎える。(ヴェルギリウス「アエネーイス」より)ディドの自決は人をもてあそぶ神への、命をかけた抗議だった。
 バロック音楽のオペラ。その宝石といわれる作品「ディドとエネアス」は、1時間の短いオペラにも関わらず、ギリシャ神話の厚みと、人間の情念の濃さ、運命の悲しみを描いた傑作です。
 

■「ディドとエネアス」~古代ギリシャからロ-マ帝国の架け橋~

 トロイの王子エアネスと、カルタゴの女王ディドの悲恋物語。人間たちは、神々の決めた運命の中で生きなければならない、というギリシャ神話の世界観に基づいたものオペラです。
 
 このオペラは当劇場がこれまでに上演した中で、もっとも音楽史の古い時代に属するものです。ヘンリー・パーセルは、バロック時代のイギリスの作曲家(1659-1695)。チェンバロとチェロを中心とする通奏低音様式、セリア(まじめな)、ブッファ(こっけいな)の二つの要素の対比など、バロックオペラの魅力を味わっていただきたいと思います。チェンバロの陣内直氏は、この様な「古楽」のジャンルに造詣が深く、多くの助言を賜りました。この場を借りて深く感謝申し上げます。
 
 冒頭に、ベルリオ-ズの歌劇「トロイ人」の中の、トロイの女たちの自決シ-ンを置き、全体を一時間ほどの一幕物のオペラとして構成しました。原作の合唱の代わり、テノールの語り手が劇を進めていきます。舞台上では白樺の木が人間の営みを見つめています。音楽が紡ぎだす古代ギリシャからロ-マ帝国の架け橋となったこの悲しい恋の物語。どうぞごゆっくりご覧ください。
            札幌室内歌劇場 理事長 浅里慎也(公演プログラムより)
 

 

 

 
 
 
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