どっちもどっち

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数日前、フランスで永く暮らしていた人と話していた時にふと思いました。
文化の違いは大きいけれど、人間として最低限のことは共通のもの。

「フランス人は働くこと、仕事が嫌いなんだよ。生活のためだから仕方が無くやっている。長いバカンスを楽しみにがんばって働いているんだよ。」と・・・
もちろんフランス人皆がそうというわけではないし、人生をかけた大きな仕事をしている人もいます。それはそれとして、日本人のように「仕事が好き」「仕事が生きがい」などというのを聞くとかなり驚かれるそうです。嫌な仕事を毎日できるの?と少し驚きましたが、すぐに「どちらの考え方も、現代では一長一短かもしれない。」と感じました。

最近、日本の若者がなかなか職に就かない、就けないという厳しい現状もありますが、あえて職に就かない、いわゆる「ニート」が増えています。仕事をしない理由に、“やりたい仕事が見つからない”“何をやりたいのかわからない”ということをよく耳にします。やはり日本人は仕事に対してやりがいを求めるがゆえなのでしょうか。やりがいのある仕事に就けることは確かに幸せなこと。その手ごたえは他では得られないようなずっしりしたものがあるのでしょう。
そういった仕事に対する日本人の感覚はすばらしいし、勤勉な気質は誇らしくもある。しかし反面ニートを生んでしまった一因でもあるのかもしれないのでは?
「生活のためだから仕方が無く仕事をする」ということは別の言い方をすると「仕事をしなければ生活ができない」ということ。もしこのようなフランス人流の考えが土壌にあったとしたら、好き嫌い、合う合わないにこだわらず、まずは何か仕事をしなければと思うのかもしれません。いや、数十年前までは、そのような考えがまだ日本にもあったのかもしれません。

地方での不況は深刻で、首都圏との格差がますます拡大しているということを聞きます。しかしその一方で、何もしなくてもなんとかなってしまう緩いものが潜んでいる。故にニートという現状が生まれているのかもしれませんが、必ずいつかはその代償を払うときが来ると思うと・・・
現代人の責任は重い。