何だかスマートな外国人

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仕事の合間に立ち寄った某シアトル系カフェで・・・
次の仕事まで少し時間があったので、締め切り間近の原稿を書こうかと立ち寄ったカフェでのこと。都内のオフィス街にあるにもかかわらず店内はいつもゆったりと落ち着いています。原稿用紙を取り出し、さて書き始めはどんな言葉にしようかとぼんやりガラス張りの店内から外に視線を移すと、ふと気になる風貌の紳士が歩いて来るのが見える。スラリとした体型にきっちりスーツ姿、背筋もピンと伸び英国紳士の雰囲気。しかしニットの帽子(一昔前のスキーヤーが愛用していたような)を被り、手には大きな紙袋。ナゼ?ナゼなの〜??もしかして南国出身かな、今日は少し寒いしね・・・なんて思っていたら店内に入って来て私の向かいの席に座りました。
さて、マイマグカップにコーヒーを入れてもらった彼は席につき、流れ作業のように紙袋から板を取り出しました。さらに分厚い本、箱。一体何が起きるのか?もう私は彼の動作に釘付けになり、原稿を書く手も止まったまま。
はっ、なんと箱からチェスの駒が!
チェス盤の上に何の違和感もなく並べ始め、本を開いて駒を動かし始める。時々額に手をやり、どうやらお悩みのご様子。でも常にピンと背筋を伸ばし、延々チェスと向き合う紳士。
何者なのあなたは?周囲もなんとなく彼に目が向いています。ひたすらコツコツと駒を進める紳士。ここは普通のカフェなのになぜか景色に馴染んでいる。いや、彼の雰囲気にみんなが巻き込まれているのか?ここはアナタのお家ですか?そう言いたくなってしまうくらい馴染んでいます。
とにかく気になる、気になるけど仕事の時間が迫る・・・彼の立ち去る姿を見届けたい気持ちを残し、店を後にしました。
気がつくと、私の原稿用紙にはこの紳士の様子を描写した文章だけがなぐり書きされていました。これは収穫ありかなしか・・・

最近どこへ行っても携帯メールに夢中になっている姿を目にします。それに比べてチェスは道具が多くかなり目立つはずなのに、違和感なくマイペースで店内に馴染んでいる。何だかスマートなんだなあ。