喜怒哀楽

|
文章を読んでいてもよく目にするこの四文字。漢字のテストにも出たし、誰もが知っているこの四文字。喜び、怒り、哀しみ、楽しみ。これらを日常の中で経験して、精神的に成長していく。
今年の世相を表す漢字が「偽」ということです。個人的にはもっと前向きな面をくみ上げてもらいたかったなと思うのですが、しかし偽りが目立った一年であったことは確かに否めない。年金問題やボクシングの反則問題、防衛庁の諸問題など、さまざまなことがありました。
そして近親者を狙った犯罪事件も増えてしまっています。

これらを目にするたびに感じること、それは犯罪者達には“哀”の感情の経験が足りないのではないかということです。いや、足りないのではなくその感情をうまく乗り越えられなかったのかと・・・

考えてみれば、喜怒哀楽というものは自然に感じられることもある一方、努力して得られることも多いものです。たとえばコーラスでなかなか音がとれずに苦労していても、練習して歌えるようになったときの喜び。大切だった誰か、かわいがっていたペットが死んでしまった哀しみはそれぞれが時間をかけて乗り越えてゆきます。ふつふつと湧き上がる怒りをおさめる時だって、そうとうに葛藤しつつも自分をなだめたりするわけです。
大なり小なりそんなことを繰り返す。時には失敗しながらでも繰り返す。これが経験というものなのでしょう。

経験なくしてコントロールはできない。
どんなに才能あるスポーツ選手だって人並み以上の努力があって開花しているのです。

もし“哀”の感情を乗り越えた、という経験が、自分にとっての大きな財産となっていたら、あの祖母と二人の孫は殺されることはなかったのではないのかなと、ふと思ってしまいます。