映画「ラ・ボエーム」

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プッチーニの有名なオペラ「ラ・ボエーム」が映画になり、来年公開になります。

一足早く、試写会で観てきました。

 

この映画ではミミをアンナ・ネトレプコ、ロドルフォをローランド・ビリャソンが歌い演じています。今をときめくこの二人の歌声がまずは何よりも素晴らしい。ネトレプコのあの伸びやかで情熱の混じったような音色が細部まで音楽を作り上げ歌い上げ・・・ミミのアリアは2曲とも圧巻で鳥肌が立ってしまいました。

 

舞台で演じる場合とは違い、映像のなせる業が思いっきり発揮されているのは街中のシーンと別れのシーン。

街中のシーンは、舞台上では大勢の合唱に圧倒され、メインキャストたちの存在が薄くなりがちですが、映画とくればそれは全く問題ナシ!カフェの中と外を巧みに使い分け、様々な角度からストーリーを追っていくことができる。街の賑わいもメインキャストのやりとりもくっきりと解りやすくなっています。

 別れのシーンでは雪が降る中で遠近感とモノトーンの色調が淋しさ悲しさを表現しています。

“後ろ向きで歌うこと”。

舞台ではほぼ出来ないことですが、映画だとそれは可能。しかも効果的!背中で訴えかけることの表現としての強さを実感します。ゆえに、このシーンでのミミのアリアは涙をそそります。(ハンカチを取り出している人が多かった)

 

反面、映画では難しいなぁと思うこともあります。

“舞台”・・というよりも“ホール”という広い空間でこそ受け止められるスケールの大きさがオペラにはあります。映画ではホールのような余韻がない分、大きな感情の変化を受け止める間もなく進んでいってしまう感覚に陥ってしまう。だからミミとロドルフォの間に愛が芽生える時が少し唐突に思えるかも知れません。音楽は止まることなく進んでいきますから、このあたりは(特にプッチーニのような音楽の場合は)難しいのかもしれません。

 

 この映画ではっとしたこと。それは・・・

ミミという女性の描き方です!

オペラ人はミミに対してちょっと先入観があるのかもしれない。

この映画の監督ロバート・ドーンヘルムのミミの解釈はそうなのか~~~~!!

きっと驚くと思います。でもこの解釈にアンナ・ネトレプコの声質はぴったり。

 

ということで、来年公開のこの映画。

どうぞお楽しみに!!!