マニュアルについていけなかった私

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チェーン店が増えました。飲食店や衣料品店、薬局、スーパーなど、日本のどこへ行っても同じようなお店が並ぶということも少なくありません。北海道にしかなかったお店が関東にも出来たり、またはその逆もあったり。初めこそ同郷の仲間に再会したような気持ちになりましたが、今では“これもやって来たか”という感覚。それほどに多くなりました。

 先日、10数年ぶりに某チェーン店に立ち寄りました。サンドイッチを選び、その場でどんどん具を挟んでくれるあのお店です。昔のままの感覚でショーケースの前に立つ。そこまでは良かったのですが、その後やり取りに最後まで四苦八苦、というかチンプンカンプン。その要因はシステムが少し変わっていたのと、店員さんの言っていることがよくわからなかったこと。マニュアル一辺倒でわからないことを聞きたいのに会話が成り立たないのです。でも後ろには列が出来ている。ものすごいアウェイ気分。でもなんとか先に進まねばならない…何やら違う世界に入り込んでしまったような気分を味わいました。サンドイッチを買うだけなのに。

 でもちょっとお待ちなさい、と私は心の中で呟く。マニュアルって一体何なの?

  店員はマニュアルを叩き込まれ、教えられたルールに則って接客します。店員さんがどんな対応をしてくるのか骨身に浸みている人にはスムーズに進むでしょう。決まったように答えるのみで無事にお会計までたどり着くことができます。しかし初めて訪れる人や、ゆっくり対応してほしい人にとってはどうだろう。客だって年齢も好みも様々です。マニュアル一辺倒で対応されると、そのマニュアルに対応できるように客が頑張って店員に歩み寄っていかなければならない状況に陥ります。

 どこに目線を置いてアクションを起こすのか。その人の柔軟性とか対応力とか、マニュアルにはない要素を生かしてこそ接客は成り立つのではないのかな。と、過去に接客業やお客様対応に携わった自分への反省も込めて、そう思うのでありました。